飼い主が亡くなったらペットはどうなる?公正証書遺言で大切な家族の将来に備える方法

犬や猫をはじめとするペットは、飼い主にとって大切な家族の一員です。

だからこそ、「自分の身に何かあったら、この子はどうなるのだろう」「家族や親族が引き取れなかったらどうしよう」と、不安を抱えている方も少なくありません。

飼い主が元気なうちに準備をしておけば、信頼できる人にペットを託し、飼育に必要な財産を残すことも可能です。

行政書士いのくち法務事務所では、ペットを大切に思う方の公正証書遺言作成を積極的に支援しています。

この記事では、飼い主が亡くなった後のペットの扱いや、公正証書遺言によって備える方法をわかりやすく解説します。

目次
1、飼い主が何も準備せずに亡くなるとどうなる?
2、ペットの将来に備えるには遺言書の作成が有効
3、公正証書遺言は信頼性と実効性の高い方法
4、まずはペットを託せる人を探す
5、ペットを大切にすることを条件に財産を譲る方法
6、ペットの情報は別の書面にもまとめておく
7、公正証書遺言を作成する流れ
8、公正証書遺言を作成する際の注意点
9、公証役場へ支払う手数料
10、公正証書遺言だけで十分とは限らない
11、大切なペットのために元気なうちから準備を
12、ペットを大切に思う方の公正証書遺言作成を支援します

人が亡くなると、その人が所有していた財産は、原則として民法で定められた法定相続人に承継されます。

法律上、ペットは人と同じように財産を相続する権利を持つことはできません。
ペット自身を遺言書の中で相続人や受遺者に指定することもできません。

そのため飼い主が亡くなった後は、相続人がペットを引き取るケースが多くみられます。

しかし、相続人がペットを大切に思っていたとしても、必ず引き取れるとは限りません。

たとえば、次のような事情が考えられます。

・ペットを飼うことが禁止された住宅に住んでいる
・同居家族に動物アレルギーのある人がいる
・すでに複数のペットを飼っている
・高齢や病気などにより世話を続けることが難しい
・仕事や家庭の事情で十分な飼育環境を用意できない

引き取り手が見つからなければ、継続的な飼育が難しくなる可能性があります。

大切なペットが飼い主の死後も安心して暮らしていけるようにするためには、飼い主が元気なうちから具体的な準備を進めておくことが重要です。

遺言書を作成しておけば、ペットを託したい人や、その人に譲りたい財産などを明確にできます。

遺言書には、主に次の3種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言
  • 公正証書遺言

自筆証書遺言は、自分で本文を書いて作成できるため、比較的手軽な方法です。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用することもできます。
しかし、形式や内容に不備がある場合は無効になるおそれがあります。

秘密証書遺言は、遺言書の内容を秘密にしたまま、その遺言書が本人のものであることを公証人に証明してもらう方法です。
ただし、内容を公証人が確認するわけではないため、方式や内容に不備が残る可能性があります。

ペットの飼育を託す遺言は、財産の承継と飼育の希望を組み合わせた内容になることがあります。
一般的な遺言よりも慎重な設計が必要になるため、公正証書遺言によって作成することをおすすめします。

公正証書遺言は、遺言者の意思をもとに公証人が作成する公文書です。

法律の専門家である公証人が内容や方式を確認するため、形式上の不備によって遺言が無効となるリスクを大きく減らせます。
原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配が少ないことも大きなメリットです。

また、公正証書遺言は、遺言者の死亡後に家庭裁判所の検認を受ける必要がありません。
したがって、遺言書が見つかった後、比較的速やかに手続きを進められます。

ただし、公正証書遺言であっても、遺言者の判断能力や遺留分などをめぐって、争いが生じる可能性まで完全になくなるわけではありません。
希望を実現しやすくするためには、相続に関する制度をしっかりと理解し、関係者と事前に話し合っておくことが大切です。

公正証書遺言を作成する前に、まずはペットを安心して託せる人を探しましょう。

家族や親族に限らず、友人や知人などを指定することもできます。
大切なのは、その人がペットを愛情を持って飼育できるか、住環境や経済面を含めて無理なく世話を続けられるかを確認することです。

一方的に遺言書へ名前を書くだけでは、確実な備えとはいえません。
財産の遺贈は放棄される可能性があり、遺言書があるからといって、その人にペットの飼育を強制できるとは限らないからです。

候補者には事前に相談し、次のような点を確認しておくことが望まれます。

  • ペットを引き取る意思があるか
  • 現在の住居で飼育できるか
  • 同居する家族の理解を得られるか
  • 持病や性格、生活習慣に対応できるか
  • 通院や介護が必要になった場合にも対応できるか

最初に指定した人が、病気や転居などによって引き取れなくなることも考えられます。
そのため、第二候補者や団体を定める「予備的な遺言」も検討するとより安心です。

ペットを引き取ってくれる人に、飼育費などに充ててもらうための財産を残すこともできます。

その方法の一つが「負担付遺贈」です。

負担付遺贈とは、財産を譲る代わりに、受遺者へ一定の義務を負担してもらう遺贈です。
たとえば、「飼っている犬を引き取り、適切かつ大切に飼育することを負担として、○○さんに金銭を遺贈する」といった内容が考えられます。

ただし、負担付遺贈を定めても、受遺者が遺贈を放棄する可能性があります。
また、飼育方法や飼育費の使い方が曖昧だと、遺言者が思い描いていた環境が実現しないことも考えられます。

負担付遺贈を検討する際は、次の点を具体的に定めておくことが大切です。

  • ペットを託す相手
  • 遺贈する財産の内容や金額
  • 日常の飼育方法
  • 通院や治療に関する方針
  • 飼育が難しくなった場合の対応
  • ペットが先に亡くなった場合の財産の扱い
  • 最初の受遺者が引き受けられない場合の第二候補
  • 遺言の内容を実行する遺言執行者

受遺者が負担を履行しない場合に備え、遺言執行者を指定しておくことも重要です。

他にも、単に「これからもペットを大切にしてください」とお願いする内容を、遺言書の付言事項として記載する方法もあります。
飼い主の気持ちを伝えるうえでは意味がありますが、付言事項には通常、財産処分の条項と同じような法的拘束力はありません。
希望をどこまで法的な義務として定めるかは、ペットを託す相手との関係や財産の内容を踏まえて判断する必要があります。

公正証書遺言には、財産の承継やペットを託す相手など、重要な事項を記載します。

一方、食事の量、散歩の時間、かかりつけの動物病院、服用している薬、性格、苦手なことなど、日常的な飼育情報は変化する可能性があります。

こうした情報は、遺言書とは別に「ペットの飼育ノート」などへまとめ、定期的に更新しておくとよいでしょう。

具体的には、次のような情報を記録しておきます。

  • 名前、種類、性別、生年月日
  • マイクロチップや登録に関する情報
  • かかりつけの動物病院
  • 病歴、持病、服用している薬
  • 食事の種類、量、回数
  • 散歩や排せつの習慣
  • 性格や苦手なこと
  • ペット保険の契約内容
  • ペットサロンやホテルの連絡先
  • 緊急時の一時的な預け先
  • ペットを託す予定の人の連絡先

公正証書遺言と飼育ノートを組み合わせることで、法的な準備と日常的な引き継ぎの両方を整えられます。

公正証書遺言は、おおむね次の流れで作成します。

①遺言の内容を決める
誰にどの財産を相続させる、または遺贈するのかを決めます。
ペットに関する遺言では、ペットを託す人、飼育のために残す財産、負担の内容、第二候補、遺言執行者なども検討します。

②必要書類を収集する
遺言者の本人確認書類、遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本、不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳のコピーなどを準備します。
相続人以外の人に遺贈する場合は、その人の住所や氏名を確認できる住民票なども必要です。

③原案を作成する
希望する内容を整理し、公正証書遺言の原案を作成します。
負担付遺贈を行う場合は、実現可能性や他の相続人の遺留分にも配慮しながら内容を検討する必要があります。

④公証役場へ申し込む
必要書類と原案を公証役場へ提出し、公証人に内容を確認してもらいます。
公証人との調整を重ね、最終的な案を確定します。

⑤証人2名を手配する
公正証書遺言の作成には、証人2名の立会いが必要です。
適切な証人が見つからない場合は、公証役場や公正証書遺言の作成を支援する専門家に相談できる場合があります。

⑥公証人と証人の前で遺言書を作成する
作成当日は、遺言者本人が公証人と証人2名の前で遺言の内容を伝え、公証人がその真意を確認します。
公証人による読み聞かせまたは閲覧を経て内容に誤りがないことを確認し、所定の手続を行うことで公正証書遺言が完成します。

財産を受け取る人を特定できる書類が必要

相続人に財産を相続させる場合は、遺言者との続柄がわかる戸籍謄本などを用意します。
相続人以外の人に財産を遺贈する場合は、その人の住民票など、氏名と住所を正確に確認できる資料が必要です。
必要書類は遺言の内容によって異なるため、事前に公証役場や専門家へ確認しましょう。

利害関係人は作成手続に同席できない場合がある

公正証書遺言の作成当日は、遺言者が自分の意思を自由に述べられるようにするため、財産を受け取る人などの利害関係人には退席を求める運用がとられています。
家族や相続人が公証役場まで付き添うこと自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、遺言内容を確認する場面には同席できない可能性があります。

推定相続人などは証人になれない

次の人は、公正証書遺言の証人になることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人
  • 遺贈を受ける人
  • 推定相続人や受遺者の配偶者および直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

「相続人でなければ誰でもよい」とは限らないため、証人を手配する際は欠格事由に該当しないことを確認する必要があります。

公正証書遺言の作成時には、公証役場へ手数料を支払います。

手数料は、遺言によって財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産の価額をもとに計算されます。
そのため、単純に遺産の総額だけで決まるとは限りません。

財産の価額、受遺者や相続人の人数、遺言の内容、公証人の出張の有無、正本・謄本の交付などによっても総額が変わります。

具体的な金額については、公証役場へ資料を提出したうえで確認する必要があります。

公正証書遺言は、飼い主の死後に備える有効な方法です。

しかし、遺言は原則として遺言者の死亡によって効力が生じます。
そのため、飼い主が病気や事故によって入院し、ペットの世話ができなくなった場合には、遺言書だけでは対応できません。

万一に備えるためには、公正証書遺言と併せて、次のような準備も検討しましょう。

  • 緊急時に一時的にペットを預かってくれる人や施設を決める
  • よく利用するペットサロンやペットホテルの連絡先を共有する
  • ペットホテルでの様子を聞き取りしておく
  • ペットの飼育情報をまとめておく
  • 飼育費をどのように負担するか決める
  • 必要に応じて死後事務委任契約や信託などを検討する

一つの方法だけに頼らず、複数の備えを組み合わせることが大切です。

参考:狛江市でトリミング・ペットホテルをお探しならペットサロン&ホテルwith

飼い主にとって、ペットはかけがえのない存在です。

しかし、法律上、ペット自身に財産を相続させることはできません。
飼い主が何も準備しないまま亡くなると、誰がペットを引き取り、誰が飼育費を負担するのかが決まらず、相続人や周囲の人が対応に困ってしまうことがあります。

公正証書遺言を作成しておけば、信頼できる人へペットを託すことや、飼育のための財産を残すことができます。

ただし、「ペットを大切にしてほしい」という希望をどのような形で記載するかによって、法的な意味や実効性は異なります。
ペットの種類や年齢、健康状態、託す相手との関係、所有する財産などを踏まえ、一人ひとりに合った内容を考えることが重要です。

行政書士いのくち法務事務所では、大切なペットの将来が心配な方の公正証書遺言作成を支援しています。

公正証書遺言作成サポート料は、9万8,000円から承っております。
※別途、公証役場へ支払う手数料などが必要です。

「ペットを大切に飼育することを条件に財産を遺贈したい」というご相談はもちろん、法的な義務を設けず、付言事項としてペットを大切にしてほしいという思いを伝える内容も検討できます。

ご希望を伺ったうえで、必要書類の収集、原案の作成、公証人との調整、証人の手配などを丁寧にサポートいたします。

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