駐車場を借りて車庫証明を取得する方法
「自動車保管場所証明書(車庫証明)」は、本人であれば簡単に申請できます。
警察署によって多少の違いはありますが、あまり難しくないことに変わりはありません。
というわけでここでは、行政書士自身が私人として実際に車庫証明を取得した実例をもとに、車庫証明の申請方法や注意点を分かりやすく解説していきます。
「◯◯の場合は…」といったかたちで複数の例を挙げるとややこしくなるので、今回は「本人が」「新たに」「駐車場を借りて」車庫証明を取得する手順を紹介します。
1、申請に必要な書類を用意する
本人が車庫証明の申請を行う際には、下記3点の書類と身分証明書が必要になります。
1、「自動車保管場所申請書」
2、「保管場所使用承諾証明書」
3、「保管場所の所在図・配置図」
申請に必要なこれらの書類は、警察署で配布しています。
自動車販売店でも配布していることがあります。
各都道府県の公式HPからもダウンロードできますが、警察署で配布している自動車保管場所申請書は複写式になっているので、複数枚に記載する手間が省けます。
2、申請する警察署を探す
車庫証明の申請は、駐車場がある地域を管轄する警察署で行います。
どこの警察署で申請すればよいのかは、駐車場の近くにある警察署の管轄区域を検索すれば確認できます。
もっとも近くにある警察署から調べていくと、早く答えに行き着けるはずです。
また、車庫証明の申請は、必ず本人が行うことを強く推奨します。
細かい理由は後述しますが、二度手間になることがあるからです。
販売店のスタッフなどが代行すると、懲役や罰金が科されることもあります。
3、「自動車保管場所証明申請書」を書く
申請に行く警察署が分かったら、その警察署に「自動車保管場所証明申請書(以下、申請書)」を取りに行きましょう。
下の画像は、私が実際に申請するために作成した申請書です。
販売店に記載してもらった箇所は水色で、私が記載した箇所は黄色で塗りつぶしています。
ほとんどの部分を塗りつぶしてしまいスミマセン…。
4、「保管場所使用承諾証明書」を書く
駐車場を借りて車庫証明を取得する場合は、申請書の他にも「保管場所使用承諾証明書」と「保管場所の所在図・配置図」を提出しなければなりません。
保管場所使用承諾証明書には必要事項を明記し、駐車場のオーナーに署名してもらいます。
「使用期間は1ヶ月でもOK」との記事も散見されますが、年単位にしておくのが無難です。
下の画像は、私が実際に申請するために作成した保管場所使用承諾証明書です。
駐車場のオーナーに署名してもらった箇所は水色で、私が記載した箇所は黄色で塗りつぶしています。
なお、この保管場所使用承諾証明書は、駐車場の賃貸借契約書のコピーを代わりにすることもできます。
保管場所使用承諾証明書を発行するのに手数料がかかる場合などは、駐車場の賃貸借契約書のコピーを添付するとよいでしょう。
5、「保管場所の所在図」を書く
続いて「保管場所の所在図・配置図」の書き方です。
「書き方」と言いましたが、実は保管場所の所在図・配置図を使って書類を作成することはあまりありません。
保管場所の所在図は、Googleマップなどをプリントアウトすれば事足ります。
下の画像は、実際に私が申請するために作成した保管場所の所在図です。
自宅と駐車場の位置および距離を書き込むだけで完了しました。
保管場所の所在図を作成する際の注意点は、下記の2つです。
1点目は自宅と駐車場の距離です。
自宅と駐車場は2km以内である必要があります。
それ以上離れていると車庫証明が発行されないので、駐車場を借りる際は自宅からの距離に注意しましょう。
2点目は、目安となる駅や大型施設を地図の中に入れることです。
誰が見てもどの地域を表しているのかをわかるようにすることが重要です。
6、「保管場所の配置図」を書く
続いては、駐車場内の配置図についてです。
駐車場内の配置図は駐車場のオーナーや管理会社が提供してくれる場合が多いです。
自分で作成する際は、地図上にある駐車場の形状に合わせて線を引きましょう。
上の画像は、駐車場のオーナーが用意してくれた配置図です。
警察署に届出をしている駐車場なのでこの状態でも問い質されることはありませんでしたが、本来は入口や通路の幅を書き込む必要があります。
申請に行く前に、駐車場の入口や通路の幅を確認しておくとよいでしょう。
7、警察署で申請する
「申請書」「保管場所使用承諾証明書」「保管場所の所在図・配置図」の3点を用意できたら、身分証明証と認印を持って警察署に申請に行きましょう。
車庫証明の申請は平日の昼間しか受け付けていません。
警察署によって受付時間が異なるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
警察署に着いたら、まず車庫証明申請の窓口に向かいます。
順番になったら書類を提出し、不備がないか確認してもらいます。
問題がなければ、手数料を支払う会計窓口に案内されます。
手数料は2100〜2300円で、都道府県によってやや異なります。
支払いが完了したら、領収書を受け取って再び車庫証明申請窓口に向かいます。
車庫証明申請窓口で受取証を受け取ったら、申請の手続きは終了です。
8、車庫証明を受け取る
一般的に、受取証には申請から1週間以内の日付が交付予定日として記載されています。
交付予定日までに警察署から連絡がなかったら、申請が通ったと考えてよいでしょう。
交付予定日になったら、車庫証明を受け取りに申請した警察署に向かいます。
車庫証明を受け取る際は、標章(ステッカー)の交付も申請する必要があります。
標章交付申請の手数料も都道府県によってやや異なります。
東京都の場合、500円となります。
警察署に着いたら車庫証明申請窓口に行き、順番がきたら受取証を提出します。
会計窓口で表彰交付申請の手数料を支払い、控えを車庫証明申請窓口に提出します。
名前を呼ばれ、書類を受け取ったら、車庫証明の申請手続きは終了です。
9、申請代行の依頼は行政書士へ
では、ここからはなぜ本人が申請に行ったほうがよいのかを解説していきましょう。
慣れない手続きをするときは書き間違いが出てしまうことがあります。
そんなときでも申請者が本人であれば、認印を押して修正することができます。
また、行政書士法第19条で、行政書士でない者が仕事として官公署に提出する書類を作成し、報酬を受けてはいけないことになっています(別の法律で定めがある場合を除く)。
これに違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることがあります。
従来は多くの中古車販売店が車庫証明の取得を代行し、手数料を徴収していたといいますが、最近は警察署のチェックも厳しくなっています。
「提出をするだけなら家族や友人、知人、自動車販売業者でも問題ない」との意見もありますが、修正する必要が生じたときに手を加えることは書類の作成にあたり、行政書士法違反となります。
行政書士であれば職印を押して修正することもできるので、本人が平日の昼間に申請と受け取りを行えない場合は、近くの行政書士に依頼するとよいでしょう。
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